平成31年1月

一切の幸福は精進より生ず


『端正なるナンダ』 アシュヴァゴーシャ   

 個人であれ組織であれ、何をするにしても、「不断の努力」「ハードワーク」「情熱」が必要とされています。仏教でも、覚りに至るための修行として七つの徳(七覚支)や六波羅蜜が挙げられますが、そのいずれにも「精進」つまり努力の徳が入っています。
ただし頑張りすぎるのもよくありません。釈尊は、修行しすぎてやつれた弟子に、「弾琴の譬え」を説きました。琴の弦は強く張っても緩く張ってもよい音は出ない。それと同じく、精進も適度でなければならないというのです。
また、自分はちゃんと努力できているのだろうかと悩むこともあります。法然上人は、「念仏がなかなか唱えられない」と訴える信者に、「念仏するつもりがあるからこその嘆きなのです」と慰め、「好めばおのずから発心する、ともいわれるので、あなたは修行の道を進んでかならず極楽往生することができます」と励ましました。
「頃合い」をさぐりながら、自分を信じて進む必要がありそうです。
(仏教学部教授 本庄 良文)

南伝 仏教南歩き No.10
カンボジア アンコール・ワット

アンコール・ワットは、カンボジア北西部に位置し、世界文化遺産であるアンコール遺跡の一つで、その遺跡群を代表する寺院です。
ヒンドゥー教寺院として創建されましたが、16世紀後半に仏教寺院に改修され、現在も上座部仏教寺院となっています。
クメール語でアンコールは首都、ワットは寺院を意味し、大伽藍と美しい彫刻を特徴とし、クメール建築の傑作とされ、カンボジア国旗の中央にも象徴として描かれています。
写真は、アンコールワットの日の出。

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