平成31年2月
私の目的は
全世界と友情を保つことである
『ガーンディー聖書』エルベール編 蒲穆訳(岩波文庫)
ガンディーは、言わずと知れた「インド独立の父」。イギリスからの独立運動を指揮した。非暴力・不服従を標榜。その思想を「サティアーグラハ」と呼ぶ。サンスクリット語のサティア(真理)とアーグラハ(主張・要求)を組み合わせた、ガンディーの造語で、「真理の主張」と訳される。ここには、真実と愛から生み出される力、または非暴力から生まれる力が含まれる、と主張。政治上における不正義や悪徳に対する解決策に有効として、彼の行動の原理となっていった。
誰かが誰かを支配し、服従させる。そこには暴力が付きまとう。その在り方に異を唱え、宗教的信念の上に真理・真実を追究すると、自ずと「非暴力・不服従」に到達する。釈尊もそうであった。
マハートマーは、マハー(偉大な)とアートマン(魂)を合わせた「偉大な魂」を意味する造語で、インドの詩聖、アジア人初のノーベル賞(文学賞)を受賞したタゴールより送られたともいわれ、ガンディーの尊称。すべての宗教家は「偉大な魂」を胸に、さまざまな問題に敢然と立ち向かわなければならない。ガンディーのように。
(仏教学部准教授 伊藤 真宏)
南伝 仏教南歩き No.11
インドネシア ボロブドゥール寺院遺跡群
ボロブドゥール寺院遺跡群は、インドネシアのジャワ島中部にある世界最大級の仏教寺院の石造遺跡群です。
8世紀後半から9世紀前半にかけて建立されましたが、メラピ山の大噴火により千年もの間、火山灰の下に埋もれ、1814年に発見され、発掘調査と修復がなされ世界文化遺産に登録されました。
ピラミッド状の寺院は、仏教の曼荼羅を表現していると言われ、壁面の美しいレリーフや多くの仏像を有するその内部は、まさに”聖域“と呼ぶにふさわしい神秘的な空気に満たされています。
写真は、ボロブドゥール寺院のストゥーパと鎮座する仏像。