令和元年9月
つとめはげむ道は、
行きがたく、行いがたく、
達しがたい
『スッタニパータ』ブッダのことば№429 岩波文庫
苦悩の根本的な解決を求めて瞑想中の釈尊に対し、修行を妨げる悪魔が語りかけた言葉です。求めることへの否定的発言であり、つけこむ隙を得ようとする煩悩、悪魔の誘惑です。そして、出典には次のように続きます。
「この詩を唱えて、悪魔は目ざめた人(ブッダ)の側に立っていた」と。
つとめはげむ道とは、仏道では悟りの境地を目指す歩み。我々の生活では、なすべき目前の物事に向き合って取り組むこと。そのいずれも、実践の主体である自分自身とも向き合って歩み続けることを言うのです。結果のみを求めるのでは無く、重視すべきは到達までの過程です。獲得すべきは知識のみで無く、歩みを通した自己の内面。すなわち、自分づくりであり自己形成なのです。だからこそ、容易では無いのです。
学習、仕事、自己形成における高い水準への到達、その取り組みに容易なものは無いとする点において、仲間と共感して歩みたいものです。互いに道理を信じ、誘惑がつけこむ隙の無いように。
(宗教教育センター実習指導講師 法澤 賢祐)