令和3年3月
ありがとう
多くは御礼や感謝の言葉で、時にはお詫びやお断りにも用います。そこには地域、国による習慣や文化的相違があり、また一方で、親しい間柄には他人行儀と思える場面も。むしろ、前後に並べられる言葉のほうが重要な場合もあるでしょう。
心の有無と言菓に出す習慣は別ですが、伝達は大切です。それは互いに良い関係を築き、調和を保ち、自他共に前向きに活かし合うための不可欠な行為と言えます。
仏教では、我々の行為・言葉・心が正しく清らかであるべきことを教えます。自分づくりの良い習慣には積極的な取り組みが必要であり、言葉はその一っなのです。合わせて思うことは、釈檸が自身の悟りを初めて語られた、その瞬間の重大性です。
さて、年度末。この心を伝えるべき相手は!沢山いると良いですね。縁そのものに身を置く自分から周囲へ、言葉に出して「ありがとう」と。そして、聞こえると良いですね―――「お役に立てて何よりです」と。
(宗教教育センター実習指導講師 法澤 賢祐)
「丸くまん丸」
(画:別科修了生 菊田水月)
「まるまると まるめまるめよ わが心 まん丸丸く 丸くまん丸」
木喰上人
このお歌を作ってくださった木喰上人は、厳しい戒律を守りながら56歳から93歳まで全国を行脚されました。そして各地にたくさんのお仏像を彫り残してくださいました。そのお仏像の姿は少しユーモラスで禍面の笑みを浮かべています。見ているだけで心がほっこり丸くなるような、優しさとぬくもりのあるお姿であります。
私も、私の版画を見てくださる方が息わずニッコリ笑頻になれるような、心がまん丸まるくなるような、そんな作品を作りたいです。
菊田水月