令和3年4月
学ぶこどが少ない人は、牛のように老い。
彼の肉は増えるが、彼の智慧は増えない。
『ダンマパダ』№152
インドヘ何回か旅行したことがあるが、その中で見かけた牛は老齢のためか痩せているのが多い。しかし、ヒンズー教の教えでは牛は神聖なものとして崇められ、大事にされている。プッダの時代は豊かな草を食べて太っていたのだろう。だから「彼の肉は増える」と、ただ草を食べて太っていく牛のように、学ぶことが少ない人は、同じことを繰り返して、年を取っていくだけであると云う。
そして「智慧は増えない」というのは、仏教の戒・定・慧の三学の教が参考になる。戒は日常の戒めを良い習慣として守り、定とは禅定のことで心の落ち着きを行なう。そうすれば、ものの本質を知るという智慧が生じてくるのです。
(仏教学部准教授 稲岡誓純)
「香偈」
(画:別科修了生 菊田水月)(製作協力:京都教区浄土宗青年会)
香偈
願我心浄如香炉 願わくは我が心智慧の香炉の如く
願我心如智慧火 願わくは我が身浄きこと火の如く
念念焚焼戒定香 念念に戒定の香を焚焼して
供養十方三世仏 十方三世の仏に供養したてまつる
【この「香偈」の出典は、善導大師の『浄土法事賛』上巻にあります。最初にお花・お線香・蝋燭など清浄を旨として、仏前の荘厳が備わったなら、焼香をして身心及び道場を清浄にしたまえと念じつつ称えます。】
(解説 宗門後継者養成道場長 稲岡誓純)