平成30年5月

「我れほどの念仏者、
よもあらじ」
と思う、僻事なり

「つねに仰せられける御詞」法然上人  

 「『私ほどの念仏者は、いくらなんでも存在しないだろう』と思うことは、間違いだ」という法然上人のお言葉です。真面目に取り組む、一所懸命に実践することは大切なことであり、当然求められる姿勢です。
自分は真面目に取り組んでいる、と自信と誇りを持つことは大切です。ところが、その自信が過信となり、誇りが傲慢となってしまってはいないでしょうか。他人のあら探しばかりして、自分のことが疎かになってるのではないでしょうか。
自分が見聞できる世界というのは、思いのほか狭いものです。自分が知らないだけで、もっと努力を積み重ねている人は、きっと存在しているに違いありません。
真面目、一所懸命ということは、自分自身に問いかけるものです。他人と比較して判断するものではありません。「私ほど真面目な者はいない」と思っているあなた、歩みが遅くなっていませんか?

(仏教学部教授 曽和 義宏)

南伝 仏教南歩き No.2
スリランカ ポロンナルワ
スリランカ北中部州にある中世の古都。
インド王朝の侵略により首都のアヌラーダプラを追われたシンハラ王朝が、ポロンナルワに都を移し、12世紀には、巨大な灌漑用貯水池や城壁が築かれ、寺院や仏塔が次々に建立されました。ポロンナルワは仏教都市として繁栄を極めましたが、13世紀に廃都となり、壮麗な建造物もジャングルに埋もれてしまいました。19世紀に遺跡の発掘が始まり、今ではスリランカでも屈指の美しい古都として知られるようになりました。
写真は、クワドラングルとよばれる城壁に囲まれた遺跡にあるワタダーゲ(四方に守護像が置かれた円形の仏塔)。

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