平成30年9月
一葉目を蔽えば泰山を見ず。
両豆耳を塞げば雷霆を聞かず。
『?冠子』
泰山は中国の霊山のひとつ。そのような大きな山であっても、
一枚の木の葉が目の前にあるだけで見えなくなり、耳をつんざく雷鳴であっても、小さな豆が両耳をふさいでいれば、聞こえなくなってしまいます。小さなこと、目先のことにとらわれて、大切なことや真理を見失なってはならない、という誡めのことばです。
このことは、改めて言われなくても、何となく分かっていることのように思えます。でも、何が「小さなことや目先のこと」なのでしょうか。
それぞれが置かれている状況によって、「小さなことや目先のこと」は変わってくるでしょう。しかし変わらないものもあります。それは自分の心です。甘え、妥協、思い上がり…。自分自身の力だけではどうにも出来ないことは当然あります。しかし、いま自分の目を遮り耳をふさいでいるのは、他ならぬ自分自身ではないのか、時には確かめる必要があるでしょう。
(仏教学部教授 曽和 義宏)
南伝 仏教南歩き No.6
タイ スコータイ
スコータイは、バンコク北方約400㎞の西寄りにあり、タイ族最初の統一国家「スコータイ王朝」の首都が置かれたところです。
ふたりのタイ族の首長がクメール軍を破ってスコータイを建国、第三代ラムカムヘエン王の時代には領土も最大となり、隆盛を極めたとされます。その繁栄ぶりをしのばせる仏寺、仏塔の跡が多数残され、スコータイ史跡公園となっています。広大な敷地には、遺跡として確認されているものだけで200以上もあります。
写真はワット・マハータート(仏塔のある仏教寺院)の仏陀像。