令和2年5月

サルも木から落ちる
でもまた登ればいい


山縣正紀(浄土宗 広島教区 正覚寺)
『春夏秋冬 -降ってよし 照ってよし-』 

 木から木へ、上手に移動する猿さえも、時には手を滑らせ地に落ちることがあるといいます。得意なことでさえも、失敗が起こりうるのです。同様のことばとして「河童の川流れ」「弘法も筆の誤り」などもあります。その道の名人でも、時には失敗することがあることのたとえとして使われています。
失敗をしない人間はいません。不得意なこと、苦手なことなら失敗する可能性もたかまります。サルが木から落ちる。でも、また登って次の木へと移動する。失敗した地点でとどまっていては、その先の進歩・成長はありません。
「サルも木から落ちる でもまた登ればいい」のです。このことばは、誰の作かは不明ですが、市井で広く使われており、私たちに勇気を与えてくれます。
失敗しないまでも4月からの新しい生活・環境に戸惑ったりすることは必ずあると思います。そのような時にこのことばを思い出し、顔をあげて、また一歩前に踏み出していきたいものです。
(教育学部教授 佐藤 和順)

「幸せの種」 
(画:別科修了生 菊田水月)
「和顔愛語 先意承問」 『仏説無量寿経』より
和やかでやさしい笑顔、思いやりのあるあたたかな言葉。相手の気持を察して、その思いを満たすために先んじて行動していくこと。
笑顔とあたたかな言葉は誰もが持っている幸せの種。相手に求めるのではなく、私から先に振り向ける。日常生活の中でその小さな種を撒き続けていれば、やがて世の中は幸せの花でいっぱいになるのではないでしょうか。                                                                   菊田水月

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