令和3年1月

天下和順てんげわじゅん

『無量寿経』 

  これは、『無量寿経巻に出る文の一部(全文は下部枠下参照)で、浄士宗においては「祝聖文しゅくしょうもん」と呼びます。正月に行う法要「修正会しゅしょうえ」や、他にも地鎮式じちんしき上棟式じょうとうしき落慶式らっけいしき などでも唱えます。その一年、あるいは各典の式典挙行以後、「天下泰平で、太陽や月は光り輝き、時節良く風雨があり、災害や疫病がなく、国は栄え、暮らしは安らかで、武力行使はなくが人々が他人を尊び、互いに思いやりながら、つとめて礼儀正しく、譲り合いますように」と祈る文です。
昨年も、災害や疫病に苦しめられた一年であり、また世界の各地で武力行使があったり、他人を尊ばず、譲り合いが無いように思われることが数多く起こった一年でありました。
今年も、どのような災害や疫病が起こるか、予測がつきません。そのような苦しみの満ちた世界に、私たちは生きているのです。しかしお互いがお互いを尊び思いやり、礼儀正しく、譲り合うことができたならば、多少なりとも「天下和順」となることでしょう。そのような一年であるように努めていきたいものです。
(仏教学部教授 曽和義宏)

「願いを込めて」 
(画:別科修了生 菊田水月)
天下和順てんげわじゅん 日月清明にちがつしょうみょう 風雨以時ふうういじ 災厲不起さいれいふき 国豊民安こくぶみんなん 兵文無用ひょうがむゆう 崇徳興仁しゅうとくこうにん 務修礼譲むしゅらいじょう 」
『仏説無量寿経』より
世の中が平和でありますように。太陽や月が清らかにに明るく照らしてくれますように。風や雨は程よく、災害や疫病も起こりませんように。国は豊かになって、人々の心は安らぎ、世界中の戦争がなくなりますように。みんながお互いに礼儀正しく、謙虚で思いやりの心を大切にする、そんな穏やかな一年となりますように、願いを込めて・・・。
菊田水月

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