令和3年2月

満ち足リたものは
全く静かである


『スッタニパータ』ブッダのことば№721 

ここに二本の徳利とっくりがあるとします。一本の徳利には半分程のお酒が入っています。もう一方の徳利には満杯のお酒が入っています。それぞれの徳利を振ってみましよう。さて「チャボチャボ」と音がする徳利は どちらの徳利でしようか?正解は、半分程のお酒が入っ ている徳利です。満杯のお酒が入っている徳利は何の音もしません。
スッタニバータ №721の全文は「欠けている足りないものは音を立てるが、満ち足りたものは全く静かである。愚者は半ば水を盛った水瓶のようであり、賢者は水の満ちた湖のようである」であり、また同№720には「河底の浅い小川の水は音を立てて流れるが、大河の水は音を立てないで静かに流れる」とあります。
どうも我々愚かな者は、チャボチャボが、チャボチャボに、チャボチャボなことを、云っている毎日ではないでしょうか。水の満ちた湖のように、大河の水のように、満杯の徳利のように、賢者のような智慧を身につけたいものです。
(仏教学部准教授 稲岡 誓純)

「冬ナクバ 春ナキニ」 
(画:別科修了生 菊田水月)
「冬ナクバ 春ナキニ」
柳宗悦『心偈』より
当たり前のことですが、冬があるから春が訪れます。厳しい冬があるからこそ春が一層うららかに感じることが出来るのだと思います。自然はいろんなことを教えてくれます。闇があるから月が明るく輝くように、人生は苦しみ悲しみを経験するからこそ、喜びや幸せを深く感じ味わうことができるのではないでしょうか。
春を迎えるために冷たく寒い冬がある。冬と春は繋がっています。今、寒さに凍えていたとしても春は必ずやってきます。
菊田水月

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